川路柳虹詩集 石 を手にとってはじめて開いたページにあった詩

あまりにタイミングよく現れたので、我が遠い親族の偉大な詩人に敬意を表しここに掲載する。


橋 ー思考と現実の間
 

固い地盤から

脆い地盤へ

橋を架けた。

橋の歪みの

不安定な下を

川が流れる、

渦巻いている

疾走している

川だ。

 

思考の方向へ

脆い地面が

傾く、

すると橋も

傾く。

 

二つの地面は

向かい合っているが

なんの関係もない。

橋は架かったが

誰も歩いていない。

 
(これらの現実は果たして
確かなのであろうか)

求めているのはそのこと!

 
思考の方向へ

脆い地面が傾く

すると 橋も傾く。

だが 橋は在るのだ、

そして、誰もまだ

歩いていない。

 
技師は忠実に

計算して

懸けた橋だ、

愛とか 矛盾とか

の数字で

懸けた橋だ。

でも誰もまだ

渡らない橋だ。

 
(確かなものとは
石のようなものか、
内蔵のように
柔軟なものは
確かでないものか)

 
橋の下を川は流れる

激しく 疾走して。

 
固い地盤で

「現実」を触ってみた、

だがそれは

海月のように

手を逃れた。

 
橋がある。

川が下を流れている。

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