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    山で働く者には、木を伐ったり、藪を刈ったり、道を造ったり、そんな作業それ自体を仕事として評価されたいという思いがどこかにある。巨大で困難な作業を、知恵と工夫と汗と涙でやりとげることは、素晴らしいことだ。でも、その作業自体は全体としての仕事の一部でしかない。
    ある部分を任され、それを誠実に担うことは、純粋な職人的現場主義として、異論を差し挟む余地が無いほどに正しいけれど、それによって作業をやりぬく力をつけることはできるけれど、残念ながらそれだけでは、価値を生み出すことにならない。
    誇り高き現場人の誠実な作業を集積し、外部との様々な複雑なやりとりを通じて、ようやく少しの価値を生み出す。そこではじめて仕事ができると言える。そこまでやってようやく稼ぎにもつながってくる。
    残念ながら、営業であったり、交渉であったり、さらには政策まで含めた経営という面倒な仕組み無しに、どんな誠実な作業も評価することができない。
    「この仕事には経営という考えは要らない」とまで言われた時代には、組織というかたちで仕事をする以上もう戻れない。
    経営なんてことを気にせず、純粋に現場だけをやりたい職人気質には、生きにくい時代だけれど、それが人間の社会で生きるということなのだ。
    

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