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1 (2016-08-26(金) 22:28:19)
#freeze
https://www.facebook.com/yunikayama/posts/10210509813091420

「林業は資金が必要なら木を伐り出して売れば良いのだから、運転資金の融資対象にはならない」と言われて某政府系金融機関に門前払いされたのはいまから10数年前のこと。
しかし、林業というのは「木を伐り出して売る」だけではない。
「木を植えたり、育てたり、そのための道を造ったり」

自己資金が無い者でも経営ができるというのが資本主義。
投資や融資というかたちで先行して資金を集めることなしに、事業はまわらない。
自分の身体とチェーンソーだけではじめた事業だが、補助金と融資で回しながら、稼いだ金で増資もしてきた。

補助金は公共的な投資。公益的な目的のための公共事業という側面もあるが、資本主義の原理に基づいた投資として投資効果を求められるようになってきた。最近の傾向では木材が出ないところには補助金は出さないのが原則らしい。

私の地元では、補助金を単なる事業資金として使い潰し、木材生産という結果が出ないばかりか、詐欺まで横行するに至り、まったく公益に反するということで、完全に信用失墜。補助金予算配分は半減となった。

いままでも計画的に補助金依存率は下げてきたけれど、木材の売上だけで経営を維持するには至っていない。生産性の向上と販売価格の上昇、どちらもまだ充分な成果が出ていない。
条件の良い優良森林を大面積皆伐する以外に木材生産だけでの経営は維持できない。しかし大面積皆伐はその場しのぎでしか無い。
現場を全て自営ということにして社会保険料の負担を無くせば表面上の採算は合うが、それは偽装請負というものだ。

それはやらないというのが経営方針。

これからは、一般市場からの投資に期待するしかない。
はたして森林に投資の価値があるかどうか。
いわゆる環境的価値に投資する者がどれだけいるだろうか。
二酸化炭素吸収源という話しはすでにかなり陳腐化してしまった。
空間利用ビジネスで扱える面積はたかがしれている。

森林は生物なので、正しく扱えば空気と水と太陽だけで確実に成長し蓄積が増える。人間が手を加えることで、森林の価値を幾分か人間の都合に合わせたかたちに変えて、分け前をいただく。
資本主義的経営でこれを実行するために何が必要なのか。

森林の中では森林の生物と、誠実なきこりたちが、常にベストを尽くして働いている。しかし、きこりは人間なので森林の中では生きていけない。

課題は森林の入り口と出口。
林業は林内だけの仕事ではない。
言い換えれば林業だけに拘っていてはいけない。

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