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    本業である林業は、森林づくりと、木材生産という二つの側面を持っている。
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    森林づくりと言っても、人工林について言えば、いずれ木材を利用するための森林づくりに他ならない。
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    しかし私自身、どれほど木材を使っているかと言えば、決して多くはない。
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    一番多いのが薪、そして紙だろうか。我が家のリフォームでは、結局かなりの量の合板を使った。無垢材だけでやるのは、時間と経費がかかるし、そもそも自前の在庫では足りなかった。
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    もっとたくさんの良い木材を生産し、さらに付加価値を上げるために加工製品も生産して、そんな事を考えることがよくある。
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    しかし、私自身が、それほど多くの良質の木材を使った製品を買うだろうか。良いモノは少しあれば充分だ。良いモノをたくさん買うほどの資金も無いけれど、そもそもそんなにモノは要らない。
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    以前出展参加したイベントで、木材製品と森林体験企画のふたつの商品をモデル的にならべてみたら、圧倒的に森林体験企画の方が人気があった。それは実際の販売ではなく、モデル的販売というゲームのようなものだったので、買い手の資金力は関係無く、素直に欲しいものを買った結果だ。
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    いまの時代、モノはそれほど求められていない。需要が無いところにどれほど良いモノを提供しても、結局売れない。
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    求められているのは、体験とか感動できる物語とか、おいしいモノは人気があるようだが、食べられないモノについては、すでに飽和状態に近いのではないか。
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    モノづくりのための素材としての木材を生産する仕事だが、モノ売りにはすでに限界が見えている。
    たとえ良い木だとしても、木材自体がそんなにたくさんはいらないモノになっている。
    まして特徴の無い普通の木材や、質の劣る材が売れるわけがない。
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    良い仕事をすれば買ってもらえると考えるのは職人の自己満足だ。黒曜石をつかって精巧な矢じりを造る職人はすでに何千年も前に絶えてしまったが、その時代に求められるモノをつくる職人の役割は続いている。
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    でも、モノ自体があまり求められていない時代には、モノづくりだけで生きていくという事自体が時代遅れになっている。
    

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