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森川 成美 (著), スカイ エマ (イラスト)
偕成社 2013-2015
児童文学というジャンルに入る作品だが、先史時代を舞台にした壮大なファンタジー小説として大人でも読める。
文章の緩急、リズムと情景を織り成す言葉のダイナミックスに引きこまれて、一気に読ませる。
「林業少年」の堀米 薫さんとのSNSでの交流を通じて紹介されて知った。
第一作を読んですっかり、アサギとその世界に魅入らてしまった。
こんな物語があれば良いなと子どもの頃から思っていたような世界、まさにそれが描かれている事にまず興味を持った。
こんな物語があれば良いなと子どもの頃から思っていたような世界、まさにそれが描かれていたのだから。
時代は弥生時代の日本であろう。狩猟採集の原始的共同体的な「むら」と分業と交易により「クニ」のはじまりを思わせる大きな「むら」とが出会う。そこで自らの力で新しい時代をを担うことになる少女の成長を描く物語だ。
海外物の冒険ファンタジーの世界は概ねギリシヤ、ローマやゲルマン、ケルトなどヨーロッパの古代神話の世界が背景になっている。一方で日本文学ではそもそも歴史ファンタジーは少ない。
自分で本を読み始めた小学生時代から、個人的には原始社会から歴史時代直前あたりを題材にしたプレ神話時代を描いた物語を探していた。そのような作品に出会う機会が無いままに、物語を読むことへの興味が薄れ、哲学や社会の本ばかりを読むようになってしまったのだ。
時代は弥生時代の日本であろう。狩猟採集の原始的共同体的な「むら」と分業と交易により「クニ」のはじまりを思わせる大きな「むら」とが出会う世界。そこで自らの力で新しい時代を担うことになる少女の成長を描く物語だ。
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あらすじ的なものはネットに散見するのでここでは省くことにする。
女でありながら戦士を目指すとか、知恵と勇気を試される戦いなど、いかにも歴史ファンタジ的仕掛けが背景にはあるけれども、ヒロインのアサギは圧倒的に強く美しいわけでもないし、アサギ以外の全ての登場人物に独特の影があり単純明快なキャラクターはいない。
アサギの明晰さ素直さは、けなげなヒロインらしさだが案外クールでもある。
女でありながら戦士を目指すとか、知恵と勇気を試される戦いなど、いかにも歴史ファンタジー的仕掛けが背景にはあるけれども、ヒロインのアサギは圧倒的に強く美しいわけでもないし、アサギ以外の全ての登場人物には独特の影があり単純明快なキャラクターはいない。
アサギの明晰さ素直さは、けなげなヒロインらしさを期待するところだが、社会から疎外されて育ったためか内省的でときに冷静でもある。
（このような人物像については、再読してみないと捉えきれないところがある。）
この物語の魅力は、なんと言ってもことばによる表現のリアリティーにある。それはアクション映画のモンタージュやフラッシュバックを思わせるたくみに編集された時間表現であり、微妙な手触りや痛みまで伝わってくるようなことばづかいが鋭い。
この物語の魅力は、なんと言ってもことばによる表現のリアリティーにある。それはアクション映画のモンタージュやフラッシュバックを思わせるたくみに編集された時間表現であり、微妙な手触りや痛みまで伝わってくるようなことばづかいでもある。
弓矢で的を狙うとき矢を放つ瞬間の力、斜面を這い上がるときの息遣い、泥沼に足をとられた感触など、そこだけ取り出して読み返したくなる。
ファンタジーとしての世界構築よりは、世界の内部に埋もれて日々生きる人間の生身の表現が私を魅了して止まないのだ。
作者はこの物語を相当長い間あたためて来たに違いない。そして、このような作品としてまとめるまでに、具体的な調査や取材あるいは体験を重ねてきたに違いない。先史時代のリアルな体験など不可能だけれども、日常のちょっとした動作や言葉づかいを物語の世界に適応した言葉に再構成する力が素晴らしい。
作者はこの物語を相当長い間あたためて来たに違いない。そして、このような作品としてまとめるまでに、かなり具体的な調査や取材あるいは体験を重ねてきたに違いない。先史時代のリアルな体験など不可能だけれども、日常のちょっとした動作や言葉づかいを物語の世界に適応した言葉に再構成する力が素晴らしい。
出版形態として三部作だが、はじめから長編として構想されていたようだ。
一応第一部はそれなりに完結はしているがすっきりしない。これでいいはずがないという思いが残る。第二部はあまりに陰鬱に中断し、完結編とセットでなければ物語としても成り立たない。児童文学としては長編かもしれないが、長さはほとんど感じない。
出版形態として三部作だが、もともと長編として構想されていたようだ。
児童文学として世に出てはいるが子どもだけの読み物にするにはもったいない。
スカイ エマのイラストが物語の空気を良く伝えていて、素晴らしい。この絵のままアニメになれば良いと思う。
一応第一部はそれなりに完結はしているがすっきりしない。これでいいはずがないという思いが残る。（そういう在り方はアリズムではあるがファンタジーとしては困る）
第二部はあまりに陰鬱に中断し、完結編とセットでなければ物語としても成り立たない。
というわけで、まとめて３冊だが新刊で買うと４５００円、第一部はアマゾンには新刊が無い。出版事情の厳しさということなのだろうが。
完結編のめまぐるしいドラマの展開、最後の勝利と重い現実、まだ微かだが確かな希望。
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２０１５年という時代に描かれたプレ神話時代の先史ファンタジーは、掘り出した断片から再構成される物語もあるし、あらためて発掘しなおせば様々な発見がありそうだ。
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スカイ エマのイラストが物語の空気を良く伝えていて、素晴らしい。この絵のままアニメになれば良いと思う。
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というわけで、まとめて３冊新刊で買うと４５００円、第一部はすでにアマゾンには新刊が無い。このあたりが出版事情の厳しさということなのだろうが。
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