バックアップ表示


12 (2016-01-02(土) 20:56:58)
#freeze

森川 成美 (著), スカイ エマ  (イラスト)

偕成社 2013-2015

児童文学というジャンルに入る作品だが、先史時代を舞台にした壮大なファンタジー小説として大人でも読める。

著者の森川さんの文章の緩急のリズムと情景と言葉のダイナミックスに引きこまれて、一気に読ませる。

「林業少年」の堀米 薫さんとのSNSでの交流を通じて紹介されて知った。

第一作を読んですっかり、アサギとその世界に魅入らてしまった。
こんな物語があれば良いなと子どものこ頃から思っていたような世界がそこに描かれている事にまず興味を持った。

時代は弥生時代の日本であろうか。狩猟採集の原始的共同体的な「むら」と分業と交易により「クニ」のはじまりを思わせる大きな「むら」とが出会う時代背景。そこで自らの力で新しい時代をを担うことになる少女の成長を描く物語だ。

あらすじ的なものはネットに散見するのでここでは省くことにする。

女でありながら戦士を目指すとか、知恵と勇気を試される戦いなど、いかにも歴史ファンタジ的仕掛けが背景にはあるけれども、ヒロインのアサギは圧倒的に強く美しいわけでもないし、全ての登場人物に独特の影があり単純明快なキャラクターはいない。

この物語の魅力は、なんと言ってもことばによる表現のリアリティーにある。それはアクション映画のモンタージュやフラッシュバックを思わせるたくみに編集された時間表現であり、微妙な手触りや痛みまで伝わってくるようなことばづかいが鋭い。

作者はこの物語を相当長い間あたためて来たに違いない。そして、このような作品としてまとめるまでに、具体的な調査や取材あるいは体験を重ねてきたに違いない。先史時代のリアルな体験など不可能だけれども、日常のちょっとした動作や言葉づかいを物語の世界に適応した言葉に再構成する力が素晴らしい。

出版形態として三部作だが、はじめから長編として構想されていたようだ。
一応第一部はそれなりに完結はしているがすっきりしない。これでいいはずがないという思いが残る。第二部はあまりに陰鬱に中断し、完結編とセットでなければ物語としても成り立たない。児童文学としては長編かもしれないが、長さはほとんど感じない。
というわけで、まとめて3冊












[[http://ecx.images-amazon.com/images/I/51fENInXtgL._SX340_BO1,204,203,200_.jpg>http://www.kaiseisha.co.jp/index.php?page=shop.product_details&flypage=flypage.tpl&product_id=6451&vmcchk=1&option=com_virtuemart&Itemid=9]]

[[http://ecx.images-amazon.com/images/I/61nO-raN4gL._SX330_BO1,204,203,200_.jpg>http://www.amazon.co.jp/dp/4036358200/]]

[[http://ecx.images-amazon.com/images/I/61ZLlBB4VaL._SX340_BO1,204,203,200_.jpg>http://www.amazon.co.jp/dp/4036358308/]]

Yahoo!ブックマークに登録 Google ブックマーク
clip!