幸いなことに、私は聞こえるので、音にはかなり敏感なほうだ。
耳が良いか悪いかわからないが、主観的に言えば、音の違いがとても気になるのだ。
そう、善し悪しではない。ちがいだ。
それも、絶対値ではなく、いろいろな関係のなかでの配置とか、そういったものだ。
音が空間で、意志をもったように、あるかたちに配置され、言葉のように、人から人へと伝えられるとき、音楽がはじまるような気がしている。
意識を持った存在がいなければ音楽は存在しない。
たとえばそれは、人だ。
音楽が、単に空間に存在するなんてことはあり得ない。
そこに、人がかかわっているから、どうしようもなくそれは言葉をはらんでいる。
歌?と完全に離れた音楽はない。
それどころか、言葉は実は歌からはじまっているということも。
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