現場主義
補助金林業や生産請負の世界では面積とか材積で稼ぐわけなので、それも仕方ないのかもない。でも、木材生産としての林業は木材という商品を売ってこその商売だし、森林づくりとしての林業は地域の環境を創り出す(壊す事も含め)仕事。
私の日常である低質材林業においても、4mだと曲がりでパルプや燃料材になってしまう木でも例えば3.3mなら、まして2.1mならかなり直材になるかもしれない。4mの丸太を4mの材として使うかと言えばそうでもない。ベニヤは2mに切ってから剥くし、パレットなら110cmの製品にするので3本とって70cmも余る。
どうしても現場は面倒な事を嫌う。全部4mでガンガンスピードを上げた方が楽。単純化した方が効率が良い。
材積や面積での請負ではなく、地域の森林をとりまとめ経営計画をつくり、長期の山づくりを担おうという立場であれば、いかに販売収益を上げるかで、自らの経営も改善するし、山元への還元を増やす事もできるはず。
「材価の向上は見込めないので生産性の向上しか道は無い」というが、安い物を安定的に大量供給して欲しいというのは、川下の大規模需要者の都合。
山側が工夫して、同じ安い材でもより使いやすい素材を供給するように働きかける。例えば需要側の歩留まり向上を山から提案できるような、生産品質管理ができるか。
一流林業地のような高品質材生産をすぐには目指せない立場から、現状をどう切り抜けるか、そこでもやはり生産性だけでは無理。
林業は一般的なビジネスのように、ヒト、モノ、カネ、だけでは動かない。
あまりにも土地依存、山依存、歴史依存。いまここにある山があってこそ、山を支える地域があってこその仕事。それを理解してそこからはじめる事が「現場主義」。
「現場は理屈じゃまわっていかない」
だが
現場は頭を使え、感性を研ぎ澄ませ。
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