2020-5-20[水]
言葉はいろいろ使えるつもりでいたけれど、感情の語彙が足りない。
好き嫌いとか、愛と恋とか、憧れと嫉妬のような、原色に近い感情表現ではなく、限りなく複雑なグラデーションがそこにはあって、それに繊細な言葉をあてて表現できるのが、本当の文学なのかもしれない。
文学はないがしろにしてきた。言葉の表現力がほんとうに足りなくて、単純な言葉に自分が騙されてしまう。そうじゃない微妙なところに真実はあって、複雑に入り混じった色合いは、決して鮮やかなだけではない。
本質的には感情型の生き物なのにそこは鍛えてこなかった。
いまから言語化を頑張るよりは、感情をそのままに言葉じゃない表現にすることで、中途半端な言語化で自分の感情を誤解しないように。
専門的な言葉づかいで、専門領域についてもっともらしいことを語るのは、じつはとても簡単で、形式論理を使いこなせれば、たいていの事は説明できる。知識が豊富に見えるのも、じつは語彙力と論理の組み合わせのせいで、本当に裏付けのある積上げられ自ら獲得した体系としての知識ではない。
そんなことは、もういい。
情動、直感、触感、歯茎で感じる空気の流れ、金属イオンの皮膚感覚、そんなことの組み合わせで出来ている生き物なのだから。
言葉とか文字とか下手くそですから。
表現力はほかで磨く。
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