天の涙腺が切れた。

静かに流していればなんでもないのに、源泉そのままにしてせき止めたりすると、溜まって溢れて、決壊したりして、大変なことになる。ただ黙って静かに流していればなんでもなかったのに。たまにちょっと渦をまいたりしても、清らかで静かな流れだったのに。源泉だって、いつか枯れるかもしれないのに。

たまに大雨になって濁流になってても、堤防なんかで守らなくても、自然に溢れて薄く広がってみんなを潤すことができるのに。そして清流が戻れば、水車をまわしたり、浅瀬で水浴びして遊んだり、川面に沈む夕日をただ眺めたり。ただだまって流していれば、それで良かったのに。

流れに名前をつけて、源流を確かめようとしたり、河口までの距離を測ったり。支流まで調べて流域と呼んで、集水面積とか出して、ここからここまでなんて管理範囲を決めて。でも自然の流れなんてものは突然はじまったり、どこかに吸い込まれたり、自由自在なんだから。存在さえも気にしなくて良いのに。

名前で呼ばなくても良いのに。

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