大きくなりすぎたカラマツ

たしかに初期成長は良かったようだった。林縁だったから、異常なほど片側だけ枝が発達して斜面下側に傾いていた。最近になって成長がおかしくなってきて、木肌にコケが生えるようになってきた。伸びも止まったようだ。

その家の主人は木の変化に敏感だった。そしていつの日か、この木が家の方に倒れてくるのではないかと心配するようになった。自らチェーンソーを扱える人だが、直径50センチ高さ20mを越える木を切り倒すことはとてもできそうもないと思った。

というわけで、何故か私がご指名で呼ばれ、出かけていってその一本の木を伐採してきた。
その木を伐るために、すぐ横にあったいまにも枯れそうな細いカラマツも一本伐った。

標高1400mほどの場所なので、樹皮の下は凍結していた。たった一本の仕事。チルホールを使って山側に斜めに倒す。隣にある木をなるべく傷つけないように、うまく回転させながら、狙いと30cmの狂いもなく抜倒できた。ツルをギリギリまで薄くしないとこうはいかないのだ。(最近抜倒方法についての考えを少し変えつつある)

枝がスゴイ太さだったが、材質は柔らかかった。決して色味も良くはない。

年輪を見れば、確かに最近5年ほど成長がおかしくなっていた。いつかは倒れる危険もあったかもしれない。それにしても、樹齢47年にしては太い木だった。

倒した木は、ある人がもらうことになっていたのだが、運び出すのは容易なことではない。

曲がっているし、かなり繊維のねじれもきつそうな、いわゆる暴れ木的なカラマツなので、ふつうに販売しても買い手はつかないかもしれない。

だがその曲がり具合もあって、梁に使ったりしても存在感はたいしたものだろう。

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