橋 のバックアップ差分(No.1)

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#freeze
川路柳虹詩集　石　を手にとってはじめて開いたページにあった詩
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あまりにタイミングよく現れたので、我が遠い親族の偉大な詩人に敬意を表しここに掲載する。
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橋ー思考と現実の間
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固い地盤から
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脆い地盤へ
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橋を架けた。
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橋の歪みの
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不安定な下を
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川が流れる、
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渦巻いている
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疾走している
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川だ。
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思考の方向へ
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脆い地面が
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傾く、
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すると橋も
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傾く。
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二つの地面は
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向かい合っているが
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なんの関係もない。
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橋は架かったが
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誰も歩いていない。
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（これらの現実は果たして
確かなのであろうか）
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求めているのはそのこと！
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思考の方向へ
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脆い地面が傾く
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すると　橋も傾く。
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だが　橋は在るのだ、
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そして、誰もまだ
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歩いていない。
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技師は忠実に
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計算して
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懸けた橋だ、
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愛とか　矛盾とか
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の数字で
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懸けた橋だ。
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でも誰もまだ
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渡らない橋だ。
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（確かなものとは
石のようなものか、
内蔵のように
柔軟なものは
確かでないものか）
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橋の下を川は流れる
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激しく　疾走して。
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固い地盤で
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「現実」を触ってみた、
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だがそれは
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海月のように
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手を逃れた。
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橋がある。
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川が下を流れている。