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    [[ソマミチ]]
    
     杣(そま)とは森に對する古い名稱のことである。杣にはあまたの徑(みち)があるが、大抵は草木に覆はれ、突如として徑なきところに杜絶する。
     それらは杣徑と呼ばれてゐる。どの杣徑も離れた別の經路を走る、しかし同じ森の中に消えてしまふ。
     しばしばある杣徑が他の杣徑と似てゐるやうに見える。けれども、似てゐるやうに見えるだけである。
     これらの徑の心得があるのは、杣人たちであり森番たちである。杣徑を辿り徑に迷ふとはどういふことであるのか、熟知してゐるのは彼らなのである。
     
     
     マルチン・ハイデツガー全集第5巻 題辞 
     マルチン・ハイデッガー全集第5巻 題辞 
    
    
     Holz lautet ein alter Name für Wald. Im Holz sind Wege, die meist verwachsen jäh im Unbegangenen aufhören. Sie heißen Holzwege. 
     Jeder verläuft gesondert, aber im selben Wald. Oft scheint es, als gleiche einer dem anderen. Doch es scheint nur so. 
     Holzmacher und Waldhüter kennen die Wege. Sie wissen, was es heißt, auf einem Holzweg zu sein.
    
    
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    ハイデッガーの言う杣径 Holzwege についての解読はまだ暫く先のこと。
    ハイデガーの言う杣径 Holzwege についての解読はまだ暫く先のこと。
    
    とりあえず
    
    ''「これらの徑の心得があるのは、杣人たちであり森番たちである。杣徑を辿り徑に迷ふとはどういふことであるのか、熟知してゐるのは彼らなのである。」''
    
    という言葉をここに再掲するに留めておく。
    
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    [[ソマミチ]]と名乗る活動に私も仕事として中心的にかかわっている。
    
    http://www.somamichi.com/
    
    この名前をプロジェクトのタイトルにしようと提案してきたのは、木工芸作家の前田大作氏だ。彼の発想のきっかけには、荒山林業の山を歩いたときの私との対話がある。
    
    まだこの集まりが「信州落葉松プロジェクト(仮)」と呼ばれていた2014年の12月のこと、冬仕舞いを控えた荒山林業地の北山と呼ばれる一帯に、私たち((荒山里利さんと私))は前田氏らを案内していた。最初に歩いたのは荒山林業地に最近復活し荒山里利さんによって栃須沢西参道と名付けられた道だ。荒山幸久氏によると、北山で最初につくった作業道だと言う。「以前には杣道程度のものしか無かったので、機械が入れるようにここから道づくりをはじめた」と幸久氏から聴いた話を、あるきながら前田氏に語った、そのときの杣道という言葉が印象に残ったと言う。
    私は山の暮らしを選んだときから、杣人や森番(Holzmacher und Waldhüter)であろうと意識してきた。そこにはハイデガー的な意味も微かに帯びはている。
    
    ソマミチとは「杣の道」、杣とは木材を産する森林の古称だ。「森へ通う道」((内山節氏に同名の著作がある))と言い直しても良い。
    そこに森から木材が運ばれる道という意味を加えることで、街の暮らしから林業の行われている山(杣)まで、一本の道が通っていることを表す言葉として読みなおすことにした。
    こうして「木を使う社会の仕組みをつくる」という、プロジェクトを表す言葉が生まれたのだ。
    
    「杣径」というのは、日本林業経営者協会の機関紙の名前であり、ドイツの哲学者マルティン・ハイデガーの著作集のタイトルでもある。そもそも杣という漢字を読める人は少ない。
    荒山林業地栃巣沢西参道の奥、急坂を登った先に荒山雅行氏が「哲学の森」と名付けた場所がある。
    
    語感的かつ視覚的なイメージとして広告的効果も意識し、プロジェクト名としては片仮名の「ソマミチ」を採用しSOMAMICHというローマ字表記も併用している。
    雅行氏の「哲学」についてはまだそう簡単に語ることはできない。
    
    林経協がハイデガーのHolzwegeを意識しているかはわからない。
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    ソマミチは片仮名語を採用した事からもわかるように、思想哲学的な活動では無い、あくまで森林と木材をプロモートする活動なので、思索の迷宮まで迷い込むつもりは無い。
    「杣径」というのは、日本林業経営者協会の機関紙の名前であり、ドイツの哲学者マルティン・ハイデガーの著作集のタイトルでもある。
    
    [CR]
    しかし私は山の暮らしを選んだときから、杣人や森番(Holzmacher und Waldhüter)であろうと意識してきた。そこにはハイデガー的な意味も微かに帯びはている。
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    西参道の奥、急坂を登った先に荒山雅行氏が「哲学の森」と名付けた場所がある。
    [CR]
    雅行氏の「哲学」についてはまだそう簡単に語ることはできない。
    林経協がハイデガーのHolzwegeを意識しているかはわからない。
    

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