2017-4-9[日]

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地域の人々の身長と体重とスリーサイズの情報をあつめてから、仕事にとりかかるなんてことは、服飾関係の人でもまずやらない。
林業の世界では、あるていど経験を積んでくると、プロでもボランティアでも、樹高や胸高直径とか相対幹距比など、データをつかって、森林を理解することを試みるようになる。
樹木とか森林があまりにも我々とは異質の存在で、何から手を付けていいかわからないので、とりあえず数字をいじってみて何か手掛かりをつかもうということ、それ自体は悪いことではない。
でも、相手が生き物であることを考えれば、まずやることは、あいさつをして、お互いの様子をさぐりながら、対話を試みるということからはじめたいものだ。
森林という樹木を中心とした生物社会へ、異種の存在としてかかわって、なにかをしようというのが林業という仕事なのだから。
コンピューターがデータを処理して描き出す陳腐な結果よりも、森林所有者の方からの契約承諾の電話の方がはるかに仕事を前にすすめる力になっている。
そこに一人、たとえ知り合ったったばかりでも、生きた人間がいるということがどれほど助けになることだろう。
複雑怪奇な森林をモデル化する「針葉樹一斉林」などというものは、植えて60年も経てば実体としてはすでに存在していないのだ。人間とは一人ひとり単独の対話を繰り返してかかわるように、森林に対しても、一本いっぽんの樹木との対話以外に、現実的にとりくむ方法は無い。
山には何十万本もの木があるのだから、単木的管理など悠長なことは言ってられないと言われるかもしれないが、何十億人もいる人間にむかっても、まずあいさつから始めるしか無いのと同じことだ。

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