力ずくではできないということ

2週間前。耕耘機がついに壊れてしまった。たまたまいつも世話になっている農機屋に中古の耕耘機があった。いままでのよりも一回り大きい、しかもディーゼルなので、重さはさらに2クラスくらい上だ。でも状態がとても良かったし安かったので買った。

8年前に買ったオンボロよりもはるかに状態が良い、元値もはるかに高いものなのに、半値だったのだ。

問題は、重量が重いにもかかわらず、水田車輪が無くて、カゴ車とロータリーでしろかきをしなければならないということ。以前の機械も同じだった。一般のこの手の機械での方法に従って、水田車輪とロータリーでのしろかきをするのに比べると、かなりスピードは早いのだが、相当な重労働になってしまう。しかも軽いガソリン車でさえ大変だったのに、重いディーゼル車なのだ。

水田車輪はぜひ欲しかったが、新品を注文する気になれなかった。

たしかにものすごいパワーで仕事は進んだ。でも重量ゆえに、深い田んぼでは、沈み込んでしまって、旋回がものすごく大変。いままでの機械ならなんとか力ずくで脱出できたような深みで、もしスタックしたら、今度は絶対に脱出不能になってしまう。

心配だったので、昨日は朝から中古をあつかっている店をまわって、水田車輪を探した。しかし、急に見つかるわけがない。あきらめて作業を続行。休耕田の復田では問題なく、むしろパワーが優って想像よりはるかに楽だった。

今日になって、おそれていた事が。重粘土で深い田んぼに持ち込んだとたん、カゴ車が沈み込んで動きがとれなくなってしまった。2時間格闘しても出せなかった。

無理な救出作業で30年来の痛めている膝をひねってしまった。腰にもきている。腰の方は筋肉痛なので休めば回復は早い。問題は膝、靱帯がすでに伸びてきっているので捻挫というほどのことでもないが、最近くりかえしひねっているので明日は重作業は無理だろう。

明日は、予定どおり田植えくらいはできるが、耕耘機の救出はあきらめるしかない。

田んぼ作業での最大の難関は、あの深い田んぼでのしろかきだった。あそこで何度機械をスタックさせてきたことか。

問題は、機械の重量にあわせた装備の段取り。機械が変わればシステムを変えなければならない。以前の機械でさえ限界だった方式(カゴ車+ロータリー)なのだから、この田では絶対不可能だということは予想できた。
大径の水田車輪が必要だということは、もう8年も前からわかっていたのだ。

もし本業の現場だったら、こうした問題を放置することはあり得ない。例えいくら費用がかかっても、安全と能率を最優先する。だが田んぼは仕事ではなく「私事」だという意識がどうしてもあって、金銭的支出を控えてしまう。結果としてこのザマである。

膝がある程度回復して、応援を頼んで耕耘機を救出できるのはおそらく水曜日ころになる。それから軽い耕耘機を借りてしろかきを仕上げる。重い機械をスタックさせて深くなりすぎてしまった田んぼでは、田植機は使えないので、手植えになる。

予定はどんどんと遅れてしまい、田植えが終わるのは6月5日すぎになるか。
そのころには苗が伸びすぎて、植え痛みが激しく成長も大きく遅れることになる。

私のまわりでは今年もこのように事が進んでいく。

田んぼは、仕事というよりは生活の側にあるので、日々の生活改善の基本はこのあたりからはじめなくてはならないのだ。

いままでなら知恵と技と体力だけで乗り切ってきた生活上の問題。だがそれなりの投資をするべきときが来ているらしい。

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