だいぶ前のことだけれど、リコーダーをやっているという話をある人にしたら、日本人の感覚には竹の音の方が合っていると言われた、そんな考えもあるのかなと思いつつ、結局反論もしなかった。

竹や葦や動物の角は、自然の姿で、管になっているから、そのまま笛になる。

ヨーロッパには竹があまり無いので、仕方なく木をくりぬいて笛をつくるようになった、それが、ヨーロッパ系のフルート(縦笛/横笛)のはじまりだという話もある。

たしかに木管というのは、手の込んだシロモノだ。石器時代にはたぶんつくれなかっただろう。

竹の楽器の音もとても好きだけれど、私はなぜか木の笛に惹かれた。

小学校でやったプラスチックのリコーダーはとても好きになれるものではなかったが、
あるとき木のリコーダーを手にして、息と木の音がするこの楽器が自分の楽器だと確信した。

もちろん、自分には声がある。これは生まれ持った楽器だ。だから歌も大好きだ。

やりたい音楽だけが、いつになっても見つからなかった。

ちょっとだけ、音楽の入り口に立って、笛を吹いていた。

自分で曲をつくるようになって、自分が感動できないような曲はやる意味が無いと思った。いつのまにか、音楽はほとんど聴くだけになってしまった。

たとえ音楽でなくても、木の笛の音が好きで、ときどき吹いてはいた。

きこりになり、仲間と事業をはじめ、仕事は順調に進んでいるのに、自分自身がどこかで抜け落ちて、仕事をあまりできなくなってしまった。

音楽をやりたいという気持ちを隠していた、原因のひとつだ。(ほかにもあるけど公開はしない。)

木の音。息の音。今度は、日本の楓を選んだ。日本の楓だから選んだわけではないけれど結果としてそうなった。

今日から、慣らし運転。笛も私もお互いを慣らしていく。

少しなれたら、トレーニングに入る。

本番までそんなに時間は無いので、計画的にやっていく。

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