経営と経営者

企業なら代表者=責任者=経営者。

団体は、そもそも経営体なのかどうか曖昧なので、代表者=責任者であっても、経営者であるかどうか曖昧だ。

共同経営であっても、会社なら共同代表者は共同経営者であり、共同責任者になる。そもそも、会社の共同経営者と言っても10人もいるなどということはあり得ないだろう。

営利を目的としない団体にあっては、そもそも経営という概念が該当しないので、代表者=責任者=管理者と考えられる。

共同出資共同経営で営利事業を行う協同組合の目的は、組合員の相互扶助による経済的地位の向上である。

協同組合は企業ではなく団体の一種であり、営利団体である。

営利を目的とするからには経営が存在し、組合員は協同経営者ということになる。

協同組合の組合員が多数である事は一般的だ。数百人もいる協同組合もある。

協同組合の代表者は、責任者であるが、経営者ではなく経営者の組織の代表者でしかない。

代表取締役は、株主から経営を任された存在であり、経営者と言える

代表理事は、経営者の代表であり、組合の運営を任されているが、経営を任されているわけではない。なぜなら経営は其々の組合員によって担われているからだ。

代表理事は組合の運営を任される管理者ではあるが会社的な意味での経営者ではない。

本来、協同組合の組合員は其々が経営者であるから、労働者ではない。

自分の仕事は自分で創り、自分の給料は自分で稼ぐ、いわゆる一人親方は、しばしば経営者兼労働者とみなされるけれども、自分以外の経営者の指揮命令の下で労働するわけでは無いので、厳密には労働者ではない。事業主とも呼ばれる。

協同組合の組合員が、組合と雇用契約を結ぶ事は可能である。

この場合は、名目上は協同経営者であるが、雇用されているという意味では労働者である。

雇用されている組合員は、経営者兼労働者と考えられるが、一人親方のように自立して経営をしているわけではないので、厳密な意味では経営者とは言えない。

協同労働の協同組合

このような、雇用されている労働者だけで組織される協同組合を、労働者協業体と言うらしい。

労働者協業体または協同労働の協同組合は、労働者の自主管理による企業とも言える。

労働者は組合に雇用されている。多くの場合代表者を選出するが、代表者は経営者ではない。

経営者は組合という組織である。組織としての人格を個人と対等なものとして考える法人である。

代表者も一組合員として、組合に雇用されている労働者である。

代表者は組織運営を任されているが、経営者である組合に従うべき存在だ。

代表者は組合員の奉仕者であり、組合運営を進めるための調整役であるけれども、組合の意思を代表するのではない。組合の意思はあくまで組合員の総意に基づいている。

日本の法律ではこのような法人のあり方は認められていないので、通常は協同組合や非営利法人の型式を用いて法人格を取る事が多い。

協同組合の代表者は法律的には労働者ではない。しかし内部統制によって、労働者としてあつかわれることになる。

対外的には、いかなる内部統制があろうとも、代表者とは経営責任者と見做され、当然労働者ではない。

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