林床整理伐

間伐をする前に、作業の障害になる灌木類を刈り払うこと。以前は除間伐(の除伐部分)と呼んでいた。

かつて除間伐と言えば、下層の雑木は全部刈るものとされていた。しかし大町市の荒山林業では、将来の中間層の広葉樹を育てるために、意識的に残しながら除伐をするということを続けていた。そこで学んだ私たちは、カラマツ林やアカマツ林を中心にこの手法を続けている。

間伐対象の上層木にとっては、下層の刈り払いは無用という考え方もある。だが針葉樹の人工林のなかで中層、下層に自然と侵入してきた広葉樹も、それなりに施業の対象として考え、植林の代わりに、残す木を選びながら刈り払いを行うということで、意図的に、針広混交の復層林をつくるということを考えているのだ。

実際に下層木をそのままに間伐作業をするのは、無理と言えるほど、下層木が密生している場合もある。背丈ほどもある笹が密生している場合には、歩くことさえできない。

針広混交復層林などというものは森林施業論的には無いと断言する研究者もいるのだが、せっかく造林補助対象になる施業としても認められいる、林床整理伐なので、積極的に採り入れることにしている。

40年生ほどのスギ林0.5haほど。やや過密なのだが、林床は意外に明るく、低木がかなり密生している。今回スギは伐り捨てで比較的弱い間伐にする予定。下層木のなかから、主にイタヤカエデ残してみた。スギの間伐を行えば、残した低木もかなり痛めてしまうけれど、それでもある程度の数は残る。おそらくこの山ではスギよりもイタヤカエデのほうが将来有望だ。

ただし、将来カエデ材として使えるのは、実は今回残したものではなく、10年後に計画している強度間伐のあとに生育してくるもののほうがいいかもしれない。今回カエデ類を残した意図は、むしろ紅葉を楽しむためと言っても良い。こういうのは、趣味の復層林だ。

一方は、かなり手遅れ状態のカラマツ林0.2ha。これも40年くらい。ここでは、ミズキを残してあとは全部刈ってしまった。ミズキは12センチくらいが伐りどきなので、今後10年以内に伐採して利用することが可能。いまのところ地元需要は無いが、10年以内に木工ろくろでコマやコケシをつくる人を探せば良い。

目立ての調子で刈り刃の切れ具合が微妙に変わる、昨日にくらべて今日は調子がよくない。仕方なくエンジンの回転をあげてしのいだが、本当は回転を抑えて軽々と伐る方が身体も楽だし安全だ。

午後は雨で仕事は中断。

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