機械化と伐採作業の質的変化(住宅支障木の場合)

ミニ油圧ショベル+バケット機能付きグラップル+ウインチ(PC50+MSEザウルス+ウインチ)を導入したことで、住宅まわりでの伐採作業の内容が大幅に変わってきた。

とくに伐採量が10m3を越えるような場合には、従来のチルホールでの伐倒とウインチつき作業車での集材という方法に戻ることは考えられない。

伐倒方向がきわめて限定されるという、難条件の現場では、クサビだけで伐倒方向を決めることが困難な場合には、チルホールという牽引具を利用してきた。

しかしこれは設置と撤収にかなりの手間がかかる。しかも結局立木の重心を変える(傾きを起こす)という程度のことしかできない。作業速度が遅いので一度木が動きはじめれば、何もすることができないからだ。

限界を超えて傾いた木の場合は、チルホール1台では傾き方向の正反対(180度)の方向にしか倒すことができない。そこで状況に応じて2台のチルホールを使う場合も出てくるわけだが、これではさらに手間がかかることになる。

新たに導入した機械では、充分に力が強くかつ速度が速いので、伐倒方向をかなり強制的に決めることが可能になってくる。

もっとも一般的な方法としては押すこと。これは普通の油圧ショベルでも可能だ。

さらにグラップルであるから、つかんで方向を変えることもできる。

ウインチを使えば、滑車を介して安全な方向へ引き倒すこともできる。また反対方向から滑車を介してつり下げることで、ゆっくりと降ろすように倒すことも可能だ。

わざと掛かり木にした後に、グラップルでつかんで横に倒すなんてことも簡単なのだ。

これら全ての方法は、通常の伐倒やチルホールを使っての伐倒でもやってきたことの応用だ。いきなりこの機械を使ってこのようなこと行うことは、様々な危険を伴うということは指摘しておく。

倒した木の搬出や枝条の片づけが楽になることは言うまでもない。

投資の大きさに見合うだけの生産性の向上を実感しているところ。

あとはオペレーターがこの機械の可能性と限界を充分に理解し、よりスピーディーに作業をこなせるようになれば良いわけだ。

二人一組のチームで作業することが原則だが、ある程度伐採木がたまってきた段階では、主に搬出・片づけだけの機械作業に集中する場面が出てくる。
この場合残る一人の作業員はやることが無くなってしまうので、そう遠くない場所で別の仕事場を確保しておくということも重要だ。

機械も人間も遊ばせないことが設備投資に負けないための最低要件なのだから。

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